相続対策は時間がかかります

まずは、資産を管理し、納税資金が不足しないようにします。その上で節税対策を行い、次の世代のために分割しやすい不動産にします。これが正しい相続対策の順序です。

地代や家賃収入があっても、固定資産税を支払うと現金が残らないことがあります。このような状況では健全な判断が難しくなります。だから、相談に来られた方にはまず「所有財産に見合った収益を確保することから始めましょう」と伝えています。資産の診断を行い、不健全な状態であれば健全化するための対策を考えていきます。このような基本的な対策から始め、少しずつ相続対策を進めて納税資金を作っていくのです。

こうなると、やはり時間がかかります。まずはヒアリングから始め、問題点を明確にするまでに約3カ月、そこから解決策を見つけるまでに最低でも6カ月が必要です。そして、方向性が定まったら適切な対策を取っていきます。そのため、本格的な相続対策には少なく見積もっても1年から2年が必要です。本当に相続対策をするのであれば、早めに取り組まないと間に合わなくなります。

しかし、多くの方は相続対策の早期対応の重要性に気づいていません。正確には、気づかないふりをしているとも言えます。つまり、相続に真剣に向き合っていないのです。「いつかやろう」「まだ健康だから」「先の話でしょ」そう先延ばしにしてしまい、いざ対策しようと思ったときには手遅れということがよくあります。そして、遅れを取り戻そうと付け焼き刃の相続税対策を始め、最終的に資産が安く売却されてしまうことも少なくありません。

付け焼き刃の相続税対策に必死になる前に、まずやるべきことがあることを不動産オーナーや地主は今すぐにでも受け入れるべきです。そして真摯に相続に向き合い、本格的な対策を今すぐにでも始めることを真剣に考えなければなりません。